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清水参詣曼荼羅を題材に
言葉の壁を越えた
コミュニケーションを生み出す

INTRODUCTION

“言葉の壁を越えた情報発信はできないだろうか?”という問題提起からはじまった、「外国人観光客のための清水参詣曼荼羅をつくる」という科目。清水参詣曼荼羅とは、絵で境内の世界観を表現した絵図。曼荼羅というフォーマットを活用し、さまざまな言語圏の外国人観光客に対して、自分たちが考える清水寺の魅力を伝えることが授業の内容。オリジナル曼荼羅をつくった受講生と、それを支えた清水寺の森先生に1年間の活動を振り返ってもらいました。

清水寺
執事補
森 清顕さん

立命館大学
4回生
塚本 真子さん

立命館大学
3回生
原田 大輝さん

立命館大学
4回生
平原 健一郎さん

京都のいろはの“い”を
知ることからスタート

今回の科目のテーマを設定した背景には、近年さまざまな言語圏の方が清水寺にお越しになり、文字案内では対応できないという課題がありました。そこで「清水参詣曼荼羅」という500年前から伝わる絵図を題材にして学生の皆さんが取り組むことで、興味深い授業ができるのではないかと考えました。

私は京都について学べる京都世界遺産PBLに興味をもち、清水寺は京都のシンボルでもあるので「この科目しかない」と思いました。海外で生活した経験があり、外国の方に日本の素晴しさを伝えたいという想いがあったことも、この科目を受講した理由です。

僕は塚本さんに誘われたことがきっかけです。立命館大学に4年間通いながら、京都にはほとんど行ったことがなく、京都について何も知らないのはマズいなと(笑)。そしてテーマを聞いておもしろそうだと思い、参加しました。

僕は京都観光文化検定を受けて認定されるほど京都の文化が好きで、清水寺で学べることに魅力を感じました。清水寺は京都観光の定番として紹介されることが多いのですが、単に歴史があるだけでなく、伝統と新しいものが融合した“何か”があるからこそ今も多くの人が訪れるのだと思います。その“何か”を考えてみたかったんです。

悩み抜くことが
新たな発見のきっかけに

科目のテーマが抽象的であるため、最初は取り組みにくかったと思います。しかし、自分たちで考えたアイデアをかたちにしていく創造力を引き出せればと思ったので、具体的な方向づけはしませんでした。みんなで議論をして、考えを深めてほしかったんです。

曼荼羅のコンセプトが決まらなくて何度も清水寺を訪れ、外国人観光客がどんなことに興味をもっているのかを観察しました。すると、日本人とは違うところに興味を持っていることに気づいたんです。そして、外国人が撮影した写真を集めた曼荼羅をつくる案を思いつきました。

参詣曼荼羅はお寺の視点でつくられたものですが、この案はお寺を訪れる人の視点でつくられることがとても新鮮でした。また写真も普段気にとめないところが撮影されていて、見ていておもしろかったですね。

僕たちのグループもコンセプト設定で迷走しました。いろいろ意見を出し合う中で宗教空間であることを伝えたいと考えるようになり、境内のさまざまな場所で録音した音を紹介する“サウンド曼荼羅”をつくることにしました。

視覚ではなく聴覚に訴えるというアイデアに驚きました。こういう斬新な発想は、若い人ならではですね。原田さんのグループの曼荼羅も非常に斬新でした。

表面的な魅力だけでなく、その背後にある意味を伝えたいという考えからはじまり、儀礼や作法の行為を連続写真で紹介する曼荼羅をつくりました。

絵で表現された二次元の曼荼羅を、行為という三次元の曼荼羅に変換する着目点が素晴しい。しかも“もの・こと”に込められた想いを探ることは、極めて宗教的なアプローチだと思います。

結果よりもプロセスに
大切なことがある

コンセプト設定も難しかったのですが、それをかたちにするのはもっと難しかったですね。昼に境内をまわって録音したものの、人が多くてイメージ通りの音が録れませんでした。そこで森先生にお願いして朝の4時半に境内に入らせてもらい録音したところ、今まで知らなかった世界が現れたんです。制作しはじめた頃は手応えがなかったのですが、この音を聴いた時に「イケる!」と感じました。

私たちもつくっている途中で最初の目的を見失った時がありました。そこでもう一度、清水寺を歩き回って原点に戻れたことがターニングポイントになりました。それからはグループ内での意見交換が活発になり、一体感が生まれました。

何か壁が立ちはだかった時、それをみんなでどう乗り越えていくかを考えることがおもしろかった。僕は1年間の取り組みを通じて、物事を深く掘り下げる問題発見力を身につけることができたと感じています。

私は、諦めない力です。方向性を変えることはいつでもできる。限界までがんばる大切さを学びました。

人の意見を受け入れることも大切ですよね。違う考えをつなぎ合わせることで、想像以上のものができることを知りました。

皆さんの話を聞いて、この科目を実施した甲斐があったと感じています。確かに成果物という“かたち”にすることも大事ですが、その過程で考え、気づいたことを大切にして今後に活かしていただきたいと思います。

担当教員からの一言

[科目名]
特殊講義Ⅰ
「外国人観光客のための清水寺参詣曼荼羅(現代版)をつくる」

立命館大学 理工学部 教授

宗本 晋作先生

境内を観音菩薩の住処に見立てて書いた参詣曼荼羅は、参拝前に境内の世界観「観音補陀落浄土」を伝えるものです。 近年、外国人観光客の増加に伴い、参拝や拝観における注意事項等、伝えなければならないことが増えています。清水寺には多様な言語圏から観光客が来訪しており、観光客の使用言語に合わせて情報を多言語化することは現実的ではありません。 本授業では、参拝における留意事項など、独自の視点で境内における外国人観光客増加に伴う課題を発見し、伝えるべきことを無言語で伝えられる新しい参詣曼荼羅を作成します。また、作成した参詣曼荼羅は、清水寺で活用していただくことを目指します。 授業では、グループ活動を基本とし、清水寺で講話を聞きフィールドワークを行います。また、曼荼羅製作における共同作業を経て、他大学の学生や専門分野が異なる学生同士が積極的な交流を図ることも目的の一つとしています。

※掲載科目は2016年度の開講科目です。

※受講生の所属・学年は2016年度時点のものです。

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