醍醐寺×龍谷大学『コミュニティマネジメント特論:世界遺産と学ぶ課題発見・解決過程』


ここでは、醍醐寺×龍谷大学『コミュニティマネジメント特論:世界遺産と学ぶ課題発見・解決過程』(担当:笠井賢紀先生)の授業の様子や受講生の活動をレポートしていきます。

なお、笠井先生は本科目「コミュニティマネジメント特論」の特設Facebookページを開設されています。各回の詳細な授業レポート等も公開されておりますので、こちらもぜひご参照ください。
「コミュニティマネジメント特論」特設Facebookページ

醍醐寺万灯会への参加

8月5日(水)に実施された醍醐寺の万灯会には、取材や見学のため、ほぼ全員の受講生が参加しました。
万灯会は、灯籠や提燈を灯してお盆を控え各家の先祖の供養や命の尊さへ祈りをささげる、醍醐寺全山を挙げて行われる行事です。この行事には醍醐寺に縁のある方や地域住民の方が多く訪れます。

万灯会に参加した受講生は、地域と深いつながりを持った醍醐寺の一面を目に見る形で発見することができ、今後の調査活動に向けて参考になる貴重な時間を過ごしました。
また、この万灯会への参加に併せて「醍醐寺の外」を担当しているチームは、醍醐小学校の校長先生にインタビューを行いました。このインタビューは、事前に醍醐寺の職員の方を通じて校長先生にアポイントメントを取り、入念な準備のもと行われたものです。醍醐小学校の児童も灯篭を奉納するなど、毎年多くの児童が万灯会に参加しています。インタビューを通じて、醍醐寺と醍醐小学校とは、その歴史において深いつながりがあること、また、企業とも協力して東日本大震災の被災地の小学校への支援活動や被災地の小学校の児童との交流を行っていることなどがわかりました。

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受講生たちはインタビューを通じて、これまで発見できなかった醍醐寺の姿を発見し、課題解決につなげていきます。

合宿振り返り・夏休みに向けての活動計画

7月9日(木)、7月23日(木)には、合宿の振り返りと主に夏休み中の活動計画について授業が行われました。
笠井先生からは、醍醐寺や本科目での調査対象となる関係施設等への訪問時のアポイントメントの取り方や、「シビックプライド」(その街に暮らす方や関係のある方が、その街に対して感じる愛着)についてレクチャーが行われました。
今後の活動も3チームに分かれて行うことになり、それぞれのチームが「醍醐寺の中」、「醍醐寺の周縁」、「醍醐寺の外」を担当することになりました。「醍醐寺の中」を担当するチームは、醍醐寺の僧の方や職員の方、境内にある売店などの課題解決に取り組みます。「醍醐寺の周縁」を担当するチームは、醍醐寺と他団体が協力して実施している「てらこやプロジェクト」や「醍醐市(だいごいち)」について調査を行います。「醍醐寺の外」を担当するチームや、地域住民へのインタビューや、近隣の小中学校を通じて行っている醍醐寺の地域貢献の取り組みなどについて、調査を行います。

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早速、8月5日(水)に実施される醍醐寺の行事「万灯会」へ参加する計画を立てるなど、非常に積極的な姿勢が見受けられました。

合宿

6月20日(土)、21日(日)、醍醐寺で合宿授業を行いました。今回の合宿の目的は、「課題発見の糸口を見つける」こと。PBLは、”Project / Problem Based Learning”の略で、主にグループでの学習を通じて、課題を発見し、解決策を提案するスタイルの学習方法。この課題発見の方法については、予め、ある程度テーマを設定する場合もあるのですが、笠井先生の授業では、学生が醍醐寺の方と協同して、この合宿を通じて一から課題を発見することを目指しております。ですので、この合宿が実質的なスタートとなります。

合宿は6月20日(土)13:00スタート。醍醐寺で合宿授業を行うに当たって、また課題の発見のために、より深く醍醐寺についての理解を深めるため、「醍醐寺の状況と目指す方向」をテーマに、醍醐寺総務部長の仲田順英師による講義が行われた。仲田師からは、醍醐寺は開創以来、開祖の聖宝上人の「縁」、「自然」、「命」を重んじる心と、それらに対する感謝や祈りを大切にしており、これまでも室町時代の応仁の乱や明治維新の際の廃仏毀釈など数々の困難を、醍醐寺を信仰する人や地域の人々、時にはその時代の権力者との協力によって乗り越えてきており、現在もその「心」と「祈り」を基礎においた運営を行っていることについてお話いただきました。
続いて、笠井先生による講義が行われ、PBLでの学びについては、現場での学習だけでなく、座学や事前調査等による知識の蓄えも必要であること(現場での発見や気づきを課題解決につなげるためには、座学によって得られた知識や知恵による裏付けが必要であること)や、また、醍醐寺の礎となっている縁・自然・命を重んじる「心」や「祈り」を、常に念頭に置いて活動することの重要性についてお話がありました。

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その後は、学生と醍醐寺の関係者がグループに分かれ、アイスブレイクを行った後、醍醐寺関係者と一緒に醍醐寺を「まちあるき」を行い、夜には、醍醐寺の僧の方から、醍醐寺の文化財や地域社会との繋がりや貢献の在り方などについて講義を受けたりと、文字通り醍醐寺と一体になった授業が行われました。
また、この日の最後には、醍醐寺てらこやプロジェクトに携わる高橋稔氏から、ご自身が醍醐寺と協力して運営しているプロジェクトでのご経験やアドバイスについて、お話いただきました。
翌日には、グループで前日の活動で気づいた課題やアイデアを共有するブレーンストーミングを行い、その後、それらをグループ間で課題を共有しつつアイデアを拡大するワールドカフェを行い、最後に合宿の成果をグループごとに発表しました。

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写経法要や朝のお勤めにも参加するなど、非常に濃密な合宿授業を行った笠井先生のクラスの学生たちはどのような課題の糸口を見つけることができたのでしょうか。今回発見した課題の糸口を具体化しどのような解決策を提示するのか、これからの展開に要注目です。

合宿準備

6月11日(木)、第12回の授業が行われました。
笠井先生のクラスは、6月20日(土)から21日(日)にかけて、醍醐寺での合宿を行います。前回の6月4日(木)と今回の授業では、合宿に向けた準備を行いました。
毎回の授業と同様にチェックインに続いて、笠井先生から合宿での活動内容やスケジュール、留意点についての説明が行われました。
引き続き笠井先生が講義を行った後、学生たちは3つのグループに分かれ、合宿に向けての準備に取り掛かりました。

このグループでの活動は先週の授業から始まっており、合宿も同じメンバーで活動します。また、今回は醍醐寺から3名の方がお越しになられていましたので、それぞれグループに加わってワークに参加しました。
合宿では、アイスブレイクやまちあるき、課題に対するアイデア出しのブレーンストーミングといった活動を行いますが、それぞれの活動で具体的にどのようなことを取り組むかについては、先生ではなく各グループの学生が主体となって企画します。
このグループでワークを行うのは2度目ということもあって、非常に活発な議論が行われました。gasshukujunbi

合宿ではどのような課題を見つけることができるのか、プロジェクトは一つの大きな山場を迎えつつあります。

「まちあるき」体験

5月14日(水)、第7回の授業が行われました。笠井先生の授業では毎回、授業の最初と最後に「チェックイン」と「チェックアウト」を実施しています。学生が一人30秒ずつ、名前(あだ名)と「授業への意気込み」や「授業の振り返り」を話します。このチェックイン・チェックアウトには、仲間意識の醸成や、プレゼンテーションを行う際などの時間の感覚をつかむなどの効果があるようです。今回のチェックインは、「カタルタ」というカードを使って行いました。

今回の授業のメインは、「まちあるき」。
「まちあるき」とは、その名の通り街中を散策するのですが、ただ普通に歩くのではなく、何かを発見しようと意識しながら歩きます。今後の授業で醍醐寺を舞台に「まちあるき」を行うのですが、今回はそれ備えた予行演習で、京都駅周辺をまちあるきします。
まず笠井先生が、テーマを設定することの重要性や、発見するものが行政や地域等が意図的に目立たせているもの(史跡案内や観光案内図等)でなくてもよいこと、知識があるほうが多様な発見ができるなど、「まちあるき」のポイントについてレクチャーを行いました。その後、3名~4名でグループを作り、10分の作戦タイム。先ほどの先生のアドバイスをもとにガイドマップを見ながら歩く地域やテーマ設定、役割分担などを議論。


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そして、いよいよ40分間の「まちあるき」に出発です。
あるチームは、テーマを「街の雰囲気」と設定し、また「思いついたことは発言する」というルールを作り、京都駅の周りを一周。駅の東西南北での景観の違いや、それぞれで聞こえてくる音の特徴などを発見しました。終了後は、チーム毎にまちあるきの報告が行われ、実際にまちを散策してみて、テーマを持って歩くことで見えてくるものがたくさんあったこと、地元(京都)出身ではない学生ならではの発見もありました。

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学生たちには、今回の経験を生かして、醍醐寺での「まちあるき」で学生ならではの視点で醍醐寺や地域の資源となる新たな発見が生まれることを、期待しています。

第1回授業~醍醐寺初訪問

4月16日(水)、醍醐寺を舞台に活動する、龍谷大学の笠井先生の授業がスタートしました。この科目は、今年度開講する京都世界遺産PBL科目の中でも唯一の通年科目(4単位)で30回の授業が行わる京都世界遺産PBL科目の中でも最も授業回数が多い科目です。

今回は、授業の初回ということで年間の授業スケジュールの説明や、この科目で学ぶにあたっての姿勢などについて先生から説明が行われたあと、受講生同士による自己紹介が行われました。初回とは思えないほどの盛り上がりで、非常に和気あいあいとした雰囲気で授業が進められました。

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 18日(土)には、醍醐寺で第2回、第3回の授業が行われました。授業で初訪問となる醍醐寺では、まず、弥勒堂でのお勤めに参加しました。その後、醍醐寺の仲田順英師からのお言葉をいただき、醍醐寺の関係者にご案内いただき、境内の見学を行いました。授業終了後も受講生全員が自主的に境内を見学するなど、早くも醍醐寺への愛着が湧いているようでした。

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二条城×同志社大学『世界遺産PBL講座~O2Oマーケティングによる地域活性化』


ここでは、二条城×同志社大学『世界遺産PBL講座~O2Oマーケティングによる地域活性化』(担当:多田実先生)の授業の様子や受講生の活動をレポートしていきます。

二条城及びその周辺でのフィールドワーク

7月12日(日)の授業では、二条城とその周辺地域でのフィールドワーク及び、二条城の職員へのインタビューを行いました。
多田先生のクラスでは、調査、分析、クラウドファンディングの検討等のマーケティング戦略を担当する「チームM」が2グループ、SNS等を活用した広報戦略を担当する「チームA」、動画を制作し、YouTubeでの公開を目指す「チームY」の4チームで活動しております。今回のワークもこの4つのチームに分かれて活動しました。
当日は13時に集合し、まず、チームごとに1時間半ほど二条城周辺のフィールドワークを行いました。

チームAは、二条城に隣接する神泉苑を調査しました。神泉苑では、その歴史や文化財に関する調査、二条城との関係などを確認しました。
チームYでは、二条城の周りを調査し、周辺に小中学校があることから、周辺地域の児童・生徒に向けて、二条城の良さや興味を持ってもらうアプローチも効果的ではないかなどの意見が出ました。
チームMの2チームは、二条城周辺のお店の調査を行い、うち1チームは三条商店街を見てまわりました。三条商店街では、観光客よりも地元住民に重きを置いたお店が多いことなどの発見がありました。

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周辺地域でフィールドワークの後は、引き続きチームに分かれて、約90分間二条城内のフィールドワークを行いました。城内のフィールドワークでは、案内パンフレットは多言語対応している中で、設置されている立て看板は日本語のみのものが多く、これを多言語かすることによって、より二条城の魅力を伝えられるのではないかといった発見や、歴史的意義のある二条城に合うキャッチコピー考案の有用性など多くの発見や気づきがありました。

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フィールドワーク終了後は、京都市文化市民局元離宮二条城事務所の後藤玉樹課長にインタビューを行いました。インタビューでは、これまで二条城で行われてきたイベントや、文化財である故の制限事項や苦労などについて質問が行われました。また、具体的な企画案についても意見交換を行うなど、学生が主体となった活発なやり取りが行われました。

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今後は夏休みの自主活動を経て、提案の具体化を図っていきます。

ゲスト講師:河尻亨一氏による講義

河尻亨一氏(銀河ライター主宰/東北芸術工科大学客員教授)をゲスト講師に招いて、広告・プロモーションに関する講義が行われました。
河尻亨一氏は、広告クリエイティブ専門の編集者です。多田先生のクラスは、オンラインを活用したプロモーションによる二条城への観光客誘致やイベントの活性化をテーマにしているため、今後のプロモーションの企画を練るにあたって、非常に参考になる講義を行っていただきました。

河尻氏は、毎年、フランス・カンヌで開催される、広告、コミュニケーション、プロモーションに関するコンペティションの祭典「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」を取材されております。今年も6月下旬に開催され、そこでの取材された内容も交えて、昨今のプロモーションの潮流や、企画する際のヒントについてお話をいただきました。講義の中では、実際にカンヌライオンズの受賞作品を紹介しながら、その中でどのようにO2Oという手法が活用されているかなど、具体的な事例も交えた解説もありました。
河尻氏からは、O2Oを活用したプロモーションでは、「強い共感をもたらす、シンプルでかつ骨太なアイデアとストーリー」が重要であること、「O2Oはすでに日常生活に取り入れられている(「O=O」状態になっている)ので、それほど難しく考える必要がないこと」など、今後プロジェクトを進めていくうえでの重要な示唆もいただきました。

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河尻氏の講義のあとは、グループに分かれ、講義で感じたことや学んだことを共有して深め、グループごとに質疑応答が行われました。質疑応答では、「ゆるキャラ」の活用の是非などについての意見交換も行われました。

次回の7月12日(日)の授業では、二条城を訪れ、フィールドワークやインタビューに挑戦します。

 

二条城についての学習

6月11日(木)、二条城を舞台に活動を展開する同志社大学の多田先生の授業が行われました。多田先生のクラスの初回授業は、5月30日(土)の他クラスと合同の開講式・全体オリエンテーションだったため、単独で行う授業は今回が初めてでした。
多田先生の授業のテーマは、「O2Oマーケティングの手法から地域活性化の『仕掛け』を作り出す」こと。O2Oとは、Online to Offlineの略で、ソーシャルメディアなどオンライン上(Web上)でのプロモーションを活用して、それに関連する商品やサービスを販売・提供する実在の店舗等(オフライン)に消費者を誘導するマーケティング手法のことを指します。

二条城は、1603年の徳川家康による築城以来の20年間に渡る本格修理事業の真っ最中で、修理費用の一部を寄付や様々なイベント事業での収益で賄うことを目指しています。O2Oの手法を用いて、いかに二条城への関心を高めて来場者や各種イベントへの参加者を増やし、修理費に充てる収益を得ることができる提案を行うことが、本クラスが挑む課題の一つです。

今回の授業では、二条城についての理解を深めるため、元離宮二条城事務所の梅林課長を講師に迎え講義が行われました。梅林課長からは、二条城の歴史や場内にある文化財の紹介、国内外からの二条城の評価などご紹介いただいた後、二条城が取り組んでいる「世界遺産・二条城MICEプラン」ご説明いただきました。MICEとは、「Meeting」、「Incentive」、「Convention」、「Exhibition / Event」の頭文字からなる造語です。歴史的価値の高い世界遺産・二条城をMICEの会場として提供することで、二条城や京都の魅力や文化財の価値を広く発信し、併せて収益の獲得を目指しています。これまでに実施してきたイベントや、イベント実施に当たって生じる文化財であるがゆえの苦労などについてお話いただきました。

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講義の後は、4グループに分かれてグループワークを実施。講義の内容をグループで深めるとともに、梅林課長への質問事項やMICEの可能性についての意見交換等が行われました。

東寺×京都市立芸術大学『保存科学入門『東寺』絵巻を作る』


ここでは、東寺×京都市立芸大学『保存科学入門「東寺」絵巻を作る』(担当:宇野茂男先生)の授業の様子や受講生の活動をレポートしていきます。

東寺絵巻の制作

7月22日(水)、いよいよ絵巻の制作を開始しました。
これまでは、キャンパスプラザ京都や東寺で授業が行われていましたが、今回はアトリエのある京都市立芸術大学で行われました。授業では、最初に宇野先生より日本画で使う筆の種類やそれぞれの筆での描き方、墨や絵の具の使い方などのレクチャーが行われたあと、実際に絵巻の制作に入りました。

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東寺での調査やインタビューを重ねた結果、絵巻には「蓮華門」、「三鈷の松」、「五重塔」の3つをテーマに絵巻を描くことになりました。
受講生は3つのチームに分かれ、それぞれのテーマを担当します。チームは、京都市立芸術大学の学生と単位互換の他大学の学生がペアになっており、芸大生と単位互換の学生が協力しながら担当部分の絵を完成させていきます。
「蓮華門」では、弘法大師空海が東寺から高野山に旅立つためにその門を通った際に起こったとされる伝説を描きます。
「三鈷の松」では、弘法大師空海が唐に修行に行っていた際に、密教の繁栄を願って唐での砂浜で海に向かって投げた三鈷(密教の儀式で使われる仏具)が、雲を突き抜け海を渡り、帰国後、天皇より与えられた東寺の松に掛かっていたとされる伝説を描きます。
「五重塔」では、その1200年という長い歴史の中で焼失と再建が繰り返された五重塔の、焼失と再建の様子を描きます。
今回初めて日本画を制作する学生もいる中、チームで意見交換やデッサンの確認を行ったり、宇野先生にアドバイスを仰ぎながら作業が進められました。

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夏休み中は、学生は自主学習でそれぞれの担当の部分の制作を進め、9月上旬をめどに下絵を完成させ、その内容について東寺の関係者の方を打ち合わせを持つ予定です。

2回目の東寺インタビュー

6月10日(水)には、2度目の東寺でのインタビューに挑みました。授業での東寺訪問は、前回インタビューを行った5月13日(水)から1か月ぶりの訪問です。

本プロジェクトも後半に差し掛かっており、蓮華門や五重塔、空海上人など、絵巻に描く題材も固まってきました。今回は、絵巻のストーリー作りや実際に絵に描くために必要な情報(それぞれの史実やエピソード等)を収集するため、東寺に関する資料や文書等に詳しい東寺・文化財保護課の新見課長にインタビューを行いました。インタビューでは、トレーニングでの学習や前回の経験、また事前準備の成果もあってか、学生たちは活発に質問を行っていました。また、メインの題材だけではなく、それぞれのエピソードが発生した時代の東寺周辺の街並みや風景、季節感など、絵巻に描かれる細かい部分の確認といった芸術大学の学生ならではの質問もありました。

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また、学生たちが事前に調査してきた情報には、史実によるものと伝説的なものとが混じっておりましたが、史実とそうでないものを理解し、情報を整理したうえで、絵巻のストーリーを立てていくことが重要だというアドバイスもいただきました。

インタビュー・トレーニング~東寺でインタビューに挑戦

インタビュー・トレーニング

5月9日(土)は、上賀茂神社を舞台に授業を展開している京都産業大学の若松先生のクラスと合同で、元NHKアナウンサーの森 吉弘氏を講師にお招きし、インタビュートレーニングを行いました。舞台となる世界遺産への理解を深めるために、また課題の発見や解決策の仮説を立証するプロセスにおいて、世界遺産の関係者や地域の方々へのインタビューは非常に重要です。宇野先生のクラスは、翌週5月13日(水)の授業で、東寺でのインタビューを予定しています。
森氏曰く、アナウンサーの数ある仕事のうち、インタビューはもっとも難しい仕事の一つであるとのこと。90分の限られた時間の中、インタビューを行う際の心構えや、必要な事前準備、また、初心者でも活用できるインタビューでのテクニックなどについて、ご自身のご経験を交えながら、わかりやすく解説いただきました。
森氏の熱意あふれる講義に、学生たちは真剣に耳を傾け、メモを取っていました。

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インタビュートレーニング終了後には、次回の授業にむけて、トレーニングの内容を踏まえての作戦会議が行われました。インタビュー当日までに必要な準備の洗い出しや、当日の役割分担などについて話し合いました。
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東寺でのインタビュー

5月13日(水)には、絵巻に描く題材に関するヒントを得るために、東寺を訪れ、砂原総務部長にインタビューを行いました。東寺には1,200年の歴史があり、重要な文化財や国宝、また弘法大師をはじめとする東寺にゆかりある偉人のエピソードなど、題材になりうるものが多数あります。その中でどれを絵巻に描くのか、今回のインタビューでは、学生が事前に東寺について調査し、気になっていることや興味を持ったことについて砂原部長にインタビューを行い、知識を深めていきました。学生たちは、東寺にある門の名前の由来やそれぞれのルーツについて、仏像について、弘法大師の生涯について、弘法市など現在も残っている行事についてなど、多岐のテーマに関するインタビューを行いました。
インタビューを行った学生は、「聞きたかったことはある程度聞けたが、思っていた以上に多くの情報をいただき、まとめていくのが難しい。今回お話いただいたエピソードをまとめながら、絵巻に描く題材を絞っていきたい。」と話していました。

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インタビュー終了後は、前回の東寺訪問の際に見学できなかった場所を砂原部長の案内のもと、見学を行いました。

 

第1回授業~東寺初訪問

この授業は他の世界遺産PBL科目の先陣を切って、4月15日(水)にスタートしました。本科目のテーマは、「日本画の伝統表現を使い、後世に伝えたいオリジナルの記録を制作する」。そのテーマの通り、担当の宇野先生からは、絵巻などをはじめとする伝統的な日本画の特徴について説明が行われました。

現在の記録媒体は、写真の場合は色褪による劣化や、デジタル機器の場合は技術進歩により、レコードなど逆に再生できなくなるといったデメリットがある一方、伝統的な技術を以て作成された絵巻などは、素材の優れた性質により、数百年の時を経て鮮やかに現存している点、また『異時同図』や『誇張・擬人化』など独特の手法を用いて、当時の出来事を効果的にわかりやすく伝えられることができている点などが説明されました。

授業の後半では、芸術大学ならではの、学生がイラストを作成して自己紹介や授業に対する意気込み等の発表が行われました。

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4月22日(水)は実際に東寺を訪問し、東寺の砂原総務部長のご案内のもと境内の見学を行いました。1,200年の歴史を持つ東寺の貴重な文化財や、平安時代の書家で三蹟としても有名な小野道風ゆかりの柳とその逸話について丁寧にご説明いただき、学生にとっても非常に濃密な授業となりました。

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お問い合わせ先

公益財団法人 大学コンソーシアム京都 単位互換事業 担当
TEL 075-353-9120 FAX 075-353-9121
〒600-8216 京都市下京区西洞院通塩小路下るキャンパスプラザ京都内
※窓口受付時間:火~土曜9:00~17:00(年末年始を除く)

 

「明日の京都 文化遺産プラットフォーム」と連携協定を締結しました。

「京都世界遺産PBL科目」の運営で連携 

 公益財団法人大学コンソーシアム京都(赤松徹眞理事長)と「明日の京都 文化遺産プラットフォーム」(松浦晃一郎会長)は、2015年度から、単位互換事業の新たな科目として「京都世界遺産PBL科目」を協力して展開することとし、5月30日(土)、協力協定の記者会見と締結式を行いました。
 世界遺産を学びのフィールドに、単位互換制度として取り組む京都世界遺産PBL科目は、全国初の試みとなります。このPBL科目は、全国の数ある大学コンソーシアムに先駆けて単位互換に取り組んできた大学コンソーシアム京都の実績と、京都の世界文化遺産や多くの文化遺産所有者のネットワークを有し、文化財の保護・継承に取り組む「明日の京都 文化遺産プラットフォーム」が、新しい大学間連携の取り組みと文化遺産を継承する次世代を育てたいという考えが一致して誕生いたしました。
 キャンパスプラザ京都2階ホールで行われた協定締結式には、学びの舞台となる世界文化遺産の所有者を代表して、有馬賴底・京都仏教会理事長や田中安比呂・賀茂別雷神社(上賀茂神社)宮司が臨席し、また、山田啓二・京都府知事、門川大作・京都市長も加わるなどオール京都で取り組む体制となりました。
 赤松理事長は「京都世界遺産PBL科目に参加することで、世界遺産に対する理解の深化や学生ならではの視点による課題解決提言に期待する」とコメント。松浦会長、有馬猊下、山田知事、門川京都市長からも本取り組みに対する期待の声が聞かれ、京都の財産である学生と文化財がこのプログラムでつながることへの期待の高さがうかがわれました。その後、協定書に赤松理事と松浦会長がサインを行い、登壇者6名による記念撮影を行いました。
 協定式終了後には 「京都世界遺産PBL科目」の開講式・オリエンテーションが行われ、学生を前に松浦会長自らが世界遺産についての講義を行いました。今後の活動は「京都世界遺産PBL科目」の特設サイトでレポートしていきますのでぜひご注目ください。



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【写真左上】
協定締結の記者会見する赤松理事長(右から3人目)
【写真右上】
協定書に署名する赤松理事長と松浦会長(右から2人目)
【写真右下】
協定書のサインを終え記念撮影に応じる赤松理事長ら


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